2018年12月08日

XL4005/XL4015 DC/DC コンバータ・モジュール

aliexpress なんかで売っている安価な DC/DC コンバータモジュールの話。

XL4015mod.jpg

5A 出力を売りにした、こういう DC/DC コンバータモジュールが、非常に安価に売っている。amazon でも買えるが、$1 ぐらいで買えたりするもの。

SBC の電源用に 12V AC アダプタから 5V にして供給するのに、すごく良いものであると思っていたのだが・・・結構、ダメダメなのでは?と思ったので改修案を考えてみた。

インダクタ

安定して、高電流を流せない。あるいは熱くなりすぎる。・・・という問題があるようだ。MINI-360 の記事で インダクタが飽和しているのでは? という結論になったのだが、これも多分そうなのではないか?

ほとんどは、トロイダルコアを使用している。馬鹿正直に作っていれば 33uH にしているはず。ただ、5A + αもの電流を流せるのか?というとなんか怪しいのである。巻き数を減らしてインダクタンスを減らせば、飽和しにくくなる。では、どこまで減らせられるか?

    画像のものは、直径 13.5mm で 28T 。コアの太さは、4.8mm φぐらいに見える。
     ・https://keisan.casio.jp/exec/user/1514627981
    この計算サイトで計算してみると、比透磁率(μr) 50 でつじつまが合う。

    一方、
     ・https://web.ji0vwl.net/core.html
    ここ見ると、比透磁率 50 というのは、割と低周波用のものではないかと。高周波だと損失が大きくなり熱が発生するそうだ。解決策は、磁束密度を減らせばよい。より大きなコアを使うか、巻き数を減らす。

    他に 12.7mm 角の CD127RH というインダクタを使っているものもあるかも知れない。
     10uH Isat 8.4A  Irms 7.8A
     33uH Isat 4.8A  Irms 5.1A
    こんな定格。 33uH では 5A フルに流すには、少々厳しいかも。だいたい sumida の本物ではないだろうから、特性は?なのである。

L-keisann.png


データシートを見ていると、この計算式が良く出てくる。必要なインダクタンスの計算式である。
ΔIL をいくつにしたら良いか分からないものの、チップが違えどもだいたい同じような結果になるようである。ちなみに Fs は、スイッチング周波数。

さて、12V から 5V への降圧だと決め打ちしてしまおう。そうすると
  L = C/Fs (C はある定数)
となって単純化される。ある 5A流せる チップでは、FS=650kHz , L=3.3uH となっていた。FS=500kHz のものでも同じ定数のようで L=3.3uH〜4.7uH 。

ということは・・・ Fs=300kHz の XL4005, Fs=340kHz の XL4015 では、6.8uH で良いのである。

    別のデーターシートで、ΔIL = Iout x 0.3 となっているものがあった。(0.3 は、セラコン向け定数)

    これで計算すると、Fs=300kHz 5A で 6.48uH となった。

トロイダルコアは、巻き数の二乗でインダクタンスが増える。例えば 1/2 にすれば、33uH → 8.5 uH である。・・・というわけで 巻き数を 1/2 にするのが良いのではないか?

    交換してしまうのであれば、1040 (10040) というメタルアロイ・タイプが良いのではないか? 10uH とか 8.2uH とか。

      スペックの例(HPI1040)

      330 Isat 4.0 Irms 3.5
      100 Isat 6.0 Irms 5.3
      8R2 Isat 6.5 Irms 6.0
      6R8 Isat 8.5 Irms 7.2
      4R7 Isat 10.5 Irms 9.0
      3R3 Isat 12.0 Irms 10.0


ダイオード

良く分からないのだが、5A 出力だったら 5A 品が指定されているようである。この写真では SS54 が使われていて問題ないのだが 3A 品の SS34 のものがある。ダイオードを並列につなぐのはマズイらしい。例えば SR54F に替えた方が良いのである。

コンデンサ

入出力ともに 220 -- 22uF である。データシートを見ると 入力側 220uF, 出力側 330uF となっていて全然違う。

他のチップを見てみると、FS=650kHz , FS=500kHz のもの両方、入力 10uF x2 , 出力 22uF x2 であった。ただし、セラコンとかの低ESR 品が前提のようである。

これも良くは分からないのだが、スイッチング周波数が低いのだから、2倍にしておけば良いのではないかと。入力 47uF , 出力 100uF あたりが良さそうだと思われる。

せいぜい車載して 入力15V ぐらいで使うのであれば、35V も耐圧はいらない。 今は秋月でも 2012 で 25V 22uFがある。6.3V なら 3225 になるが、47uF がある。

調整後でないと、6.3V を使うのはまずそうだが、こういった品に替えてしまうのはどうか? 多分2個並列で付くだろう。 入出力ともに 22uF x2 でも、前よりはマシである。

    後述するが、3225 でないと 元のパターンに付けられない。ひとつ付けると、その横に 2012 を付けられる。結局は 25V 耐圧の 3225 22uF を付けてから本命の 2012 を付けることにした。

Aliexpress だと タンタルコンデンサ(tantalum) 3528 で 16V 耐圧 47uF というものもある。中華製の電解コンデンサは、ちょっと嫌なので 電解液を使わないコンデンサに替えておくだけで安心できる。


    あと出力を分圧して FB に入力するわけだが、リファレンス回路では 出力- FB 間に 33nF を 入れている。分圧抵抗と並列にコンデンサを入れることで LPF にしているわけである・・・が、上記のチップでは値が随分と違い、5-22pF となっている。なんとも言えないのであるが、出力側の容量が小さいので、多少小さな値にして、追従性能を上げた方が良いのではないか?




こんなことを急に書いたのは・・・実は 高消費電流の SBC を買ってしまったのだ。RK3399 を採用した Nanopi-M4 。フォーラムを見ると CPU をぶん回しても 5V 2A 程度らしいが、それは CPU だけを使った時の話。使い方によっては、常時 2A 超え、いや 3A-4A 使うのではないかという恐れが出てきたのである。

ただし、常時 2A を超えるような使い方をしたときの問題であって、こういう改修をする必要があるか?というとないだろうと思われる。単なる電子工作ネタだと思ってもらっても良い。




ようやく本題に入れる・・・というわけでもないのだが、Nanopi-M4 用の基板を設計だけしようと思って 5A 流せる IC を物色してたのである。いくつか候補のチップが見つかったので、それらについて。

AP65550

5A 流せる Fs=650kHz の同期整流型のチップである。パッケージは PAD 付きの SOP-8 。Mouser で 1個 153.8円 -- これでも一番安いのである。

同期整流型は、外付けダイオードがいらない。5A のダイオードは選択が難しく、これがないだけで悩みが減るのである。次の悩みは、インダクタの選択だが、3.3uH であれば 0630 のメタルアロイ型が使える(だろう)。定格は、5.6A とか。

TPS565201,TPS565208

これも 5A 流せる 同期整流型のチップ。Fs=500kHz のほう。価格は Mouser で 240 円ほど。パッケージは、SOT23-6 で放熱パッドもない。本当に流せるのだろうけれども、なんか不安である。

MP2380

これも 5A だが、同期整流型ではない。ただ、aliexpress で 10 個買っても $1.86 とかお安いのである。Fs = 600kHz 。データシートの回路では、4.7uH が載っているが、3.3uH で良いはず。

ダイオードどうするか?というのが悩ましく。

あと、このチップは、外部クロックを入力することで、Fs を 300kHz 〜 1.5MHz の間で変更することが出来る。何をするために使うものなのか?ちょっと気になる。

MP8666

6A 出力 同期整流型で Fs = 600kHz 。良さそうに見えるが、Nch の MOSFET だけ外付けである。 SOT23 の AO3400 などを付けることになるが、ダイオード外付けより面積が小さいような・・・ しかし、全然安くない。気になったが、パス。大量に流通するから単価が安くなり、横流しか何か知らないが aliexpress に流れてくるのである。このチップはあまり使われていないのだろう。

どれを選んでも 3.3uH ということで、それについて

村田製作所の FDSD0630-H-3R3M のデータだと 定格 5.6A となっている。が、aliexpress で見つかるものは、定格 6.5A とか。嘘っぽい気もするが、測定基準が違う。村田製作所のは、温度上昇を基準にした平均電流のはずで、出力電流より大きければ良い。中華のものは分からないが、いけるんじゃないかと。

これらは、メタルアロイ型というタイプだそうだ。巻き線型と比べて優れている。定格もかなり大きい。お値段はちょっと高い。

それでも 10040 のサイズ でも 33uH だと 5A 流せないのである。4A とか。トロイダルコアで 5A 流せるのか?というのが、最初の疑問。ちゃんと調べていないので あれなのだが。

    troid-3A.jpg

    ひとつ写真をみつけた。コアの直径 13mm で 3A 品だそうだ。33uH は 30回ほど巻いているようだ。モジュールのものもこんな感じ。まぁどれもこれも 3A 品だとすれば、どこで飽和するのかちょっと分からないわけだが・・・。

ダイオードについて

SS54 でないとダメだとか書いたが、SS ショットキーバリア・ダイオード、 5 - 5A 、4 -40V の意味である。メーカーが違ってもこんな風にマークされる。3A 品は SS34 とか SS32 とか。

5A 品のサイズは、DO-214AA であることが多い。5.4mm x 3.7mm とか大きなものである。3A 品は DO-214AC が多く 5.0 mm x 2.7mm とか、少し小さく細い。

ROHM RSX501 とか 東芝 CMS04 とかは Vf が低く DO-214AC サイズ。しかし高い。こんなのを使うのであれば、同期整流型にする。

普通のもので良いと割り切れば、DO-214AA の SS54 が 20個 $0.92 である。これぐらいならば、MP2380 の価格よりだいぶ安いので、選択しても良いかも。

部品のサイズ比較

5A-size.png

比較の為に部品を並べてみた。

ダイオード SOD-124AA は、かなり大きい。 それでも SOD-124AC のパターンに載りそうなかんじ。SOD-124AB は、中間のサイズではない。間違っても買わないように。
コンデンサ 6.3 φサイズだと 下のパターンによるが、2012 を2 つ並列で載せるのが厳しい可能性がある。3528 の タンタルコン 1つのほうが、載せやすそう。また、3528 のパターンに 2012 が 2つ載る。2 個載せるつもりでも、このパターンを使おうかと。
インダクタは、0630 は小さいという印象。10040 は、この中で大きいが、トロイダルコアのものはさらに大きい、コア外径 13mm に 線径 0.5mm のものを使っているはず。そう考えると 33uH 5A いけるのかなぁという気も少ししてくる。




5A-size-2.png

最終的に、MP2380 を採用した基板にした。画像の部分のサイズは、25.5mm x 26.4mm 。電圧・電流計つき。DC/DC コン単体だと、25.5 x 16.5mm 。5A 出力なんてのを他の用途で作るかどうか分からないが、記録しておく。

ちなみに、電流測定用の抵抗だが、0.1 Ωなどとても使えない。5A 流すと 2.5W も消費される。予定しているのは、20m Ωである。R020 。それでも 0.5W になるので、しっかり放熱しないと。




いろいろ調べていて、MP1471 というチップを見つけた。SOT23-6 で 3A 出力。入力電圧は 4.7 〜 16V 。5A 出力の TPS565201,TPS565208 とピンアサインが同じ。FB は、MP1471が 0.8V で TPS565201,TPS565208 が 0.76V と違う。それはともかく、MP1471 はお安いのである。20 個で $2.3 -- TPS565201 などの 1/10 以下! 3A で十分なことが多いのでこれを使い、もし 5A が必要になったら、同じパターンで TPS565201 に替えれば良い。

また、これを使うと MINI 360 DC/DC コンバータモジュール互換のものを自作できる。

MINI-DCDC.png

ちょっと設計したもの。左上のボード。うまいこと・・かどうか微妙だが、なんとか収めることが出来た。コンデンサのパターンは 3528 で、2012 x2 を載せるつもり。ちなみに、右上は SY8008 などを使ったもので 入力 5V 以下で使う。裏面は左右逆 -- みてもしょうがないが、固定出力にするので、ラベルを付けておいた。

追記

    購入した MP1471 の動作確認が出来た! 連続出力できるかかどうかまでは未確認だが、確かに 12V 入力で 5V 3A 出力が可能だった。


改造してみた。
XL4005DCDC.jpg

まずインダクタ。巻き数を 1/2 にしてインダクタンスを 1/4 に 。33uH なら 8.3uH あたり。次にコンデンサ。高耐圧ながら電解コンデンサの 22uF 。これを外して、3225 の 22uF + 2012 47uF x2 の 3パラとしてみた。耐圧は 47uF が 16V 。3225 を何故つけたかというと 電極までの距離が長くて 2012 では届かないため。3225 でも届かないのであるが、これぐらいならハンダで付けられる。あと、ダイオードは SS54 と書いてあって 5A 品なので問題ない。


    データーシートでは 電解コンで 入力 220uF , 出力 330uF の指定なのだが、ちょっと容量が小さすぎるのではないかと。100uF でも届かないわけだが、積セラは低ESR で多分容量を減らしても問題ないはず。確か ESR が計算式に入ってたような。


テストは未だ。
posted by すz at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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