2012年05月19日

昇圧 DC-DC コンバータ覚書

前の記事に関係あるが、ステッピングモータ SPG20-1362を使うなら、15V 近い電源が必要になる。これをどうしたら良いかちょっと考察。

MC34063A

    汎用の DC-DC コンバータだと MC34063A がある。これは、昇圧にも使うことが出来て 5V → 12V なんかでも使える。あまり凝らないのなら、これで作るのも良いだろう。

    以前に書いたのだが、この MC34063A の派生版のような IC で M5291FP というのがある。日本語の PDF もあって、細かい説明が書かれていて参考になる。ググるキーワードは、RJJ03D0805 。現在も ルネサスのサイト から ダウンロードできる。

    4.8V (NiMH x4) を入力として 13V 0.5A を作りたいとして、ちょっと検討してみよう。

    まず 部品として、
  • 表面実装用(SMD) インダクタ (27uH , 3.1A) 4個 100円 
  • 表面実装用ショットキーバリアダイオード SS2040FL (40V , 2A) 20個 300円
    を使うことにする。

      Ton/Toff = ( Vout + Vf - Vin ) / ( Vin - Vsat )
       Vf は、ダイオードの 順方向電圧
      Vsat は、トランジスタの飽和電圧

    こういう式がある。Vin から上げたい電圧:Vin が Ton:Toff になるということか。

    ダイオードの 順方向電圧 は電流を流せば増える。0.5 V と見積もっておく。Vsat は、M5291FP のデータシートでは、外付け Tr を使わないなら 0.6V だそうだ。あと電流検出抵抗 Rsc の分がある これは Vin から 0.3V 引いておくことにしよう。

      Ton/Toff = ( 13 + 0.6 - 4.5 ) / ( 4.5 - 0.5 )
      = 2.275

    結果はこうなった。Ton は結構長い。

      Ipk = 2 x Iout x (1 + Ton/Toff)

    次にこういう式がある。電流は 線形で増えていくから ピークは平均の 2 倍。で、平均電流と出力電流の関係は、Iout x (1 + Ton/Toff) 。Toff の時間に 線形に減っていく電流の面積。こういうこと?

      Ipk = 2 x 0.5 + (1 + 2.275)
      = 3.275 (A)

    13V で 0.5A 流したいなら Ipk は 3.275 になる。インダクタの定格をちょっとオーバするが気にしない。

      Lmin = (Vin - Vsat)/Ipk * Ton
      1/Ton = (Vin - Vsat)/Ipk / Lmin
      Ton = Lmin * Ipk / (Vin - Vsat)

    Ipk はこの式で使い、Ton(MAX) を出す。

      Ton = 27u * 3.275 / ( 4.5 - 0.6)
      = 22.7 (us)
      Toff = 22.7 /2.275
      = 10.0 (us)

    計算した Ton + Toff から周波数を計算すると 30.6 kHz になった。

    これで良いの? という気がするのだが ... 5V → 12V 1A の回路例で 10uH なのに 50kHZ に周波数を設定している。0.5A なら 20uH で50kHZ 前後のはずだから だいたい合っているような ...

    効率はどうなるのだろう?

      出力は、13V x 0.5A
      入力は、Vin (4.8V) x ( 0.5A + 1/2 Ipk x Ton/(Ton + Toff) )
      で計算してみた。0.5A 足しているのは、昇圧は Vin に 上乗せするような計算になっていたから。理由ははっきりわからないが、こうしとかないと辻褄が合わなさそう。

      計算すると 82% ... 理論値みたいなものだし、実際はそんなはずはないか ...

    ところで、Ipk と 定格の関係。ダイオードなんかは、定格は平均電流。ダイオードの定格は 2.0A だが、大丈夫なんだろう。インダクタは、10% インダクタンスが減るときの 電流値で、実はもうすこし流せるようだ。これも問題ない。問題は、MC34063A自体。1.5A と書いてはあるのだが、ピークなのか平均なのか?

    ピークなら Ipk = 3.275 (A) だから全然ダメ。だが平均は、

      1/2 Ipk x Ton/(Ton + Toff)
       = 1.14 (A)

    だからいけることになる。

    どっちだろうか? それはやってみれば分かる。ただ、やってみるには、Rsc として 0.1 Ωが必要。... これの入手に難がある。

  • コスモ電子: 酸化金属皮膜抵抗 1W

    とかあるところにはあるようだ。

  • MCR25JZHFLR100 0.1Ω 3225
  • MCR50JZHFLR100 0.1Ω 5125

    デジキーならこのあたり。

    MC34063A の互換品には、NJM2360ADがある。 あと、100均の シガープラグ の 5V アダプタでも使われているのは有名。

    発振周波数設定用のコンデンサの値

      Ct (pF) = 40 x Ton (us)

    だそうだ。1000p ぐらい。


Tiny13A

    上の計算で、周波数や Duty比は分かった。なら Tiny13A とかの PWM でも良さそうなものだ。ADC があるから 電圧を測定できる。出力電圧を上回ったら スイッチングをやめれば良い。

    追加部品は、Nch MOSFET。

  • シングルNchチップMOSFET FD6612A (30V , 8.4A) 10個 200円 売り切れ
  • シングルNchチップMOSFET FD5680 (60V , 8A) 5 個 200円
  • DMS3016SSS SO-8 シングル(デジキー)
  • DMG3420U SOT-23 (デジキー)
  • DMG3415U SOT-23 (デジキー)
  • IRLML6246 SOT-23 (デジキー)

    沢山書いたが、FD6612A,FD5680 は VGS が高く 4.8V をそのまま AVR の電源にしないといけないという制限になる。 DMS3016SSS はデジキーで買えるものだが、置き換えが可能。はなからデジキーから買うつもりなら SOT-23 の DMG3420U も良いかも。

    ... というわけで、Nch の MOSFET の選択もなかなか面倒。

Tiny85/Tiny45

    Tiny85/Tiny45 だと もっと高度なことが出来る。やってみたいのは、コンパレータを使った電流モード制御の追加。

    電流測定用 抵抗として 0.1Ωを用意して、Nch MOSFET と GNDの間に入れる。あと、比較用に 0.3V を 分圧して作る。分圧の元は VCC (4.8V) でも良い。

    制御は、3A 流れることがあれば、Ton を短くする。毎周期 3A 流れた時点で Off にするというのは 厳しいので、3A 以上流れないように Ton を調整するわけだ。

    ピンアサイン案:

    ~RESET 1 8 VCC
    ADC3 2 7 ADC1 (SCK) voltage
    L 電流検出 ADC2 3 6 PWM (MISO)
    GND 4 5 (0.3V)基準電圧 (MOSI)

    #5 は、AIN0 だが、AREF でもある。こちらに 基準となる電圧を入れたほうが融通が利きそうだ。AIN1 は、ADC0-3 と置き換えることができる。Tiny85/Tiny45 は、差動入力 ADC2-ADC3 が使えるので、応用の可能性を考慮して、電流検出は #3 ADC2 にする。
posted by すz at 02:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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