2012年10月08日

JZ47XXのリファレンスデザインから

JZ47XX というのは、中国の Ingenic という会社が作っている MIPS SoC 。MIPS 版 Android では JZ4770 というチップが採用されていたので知っている人もいるかも知れない。

この会社が出している JZ4725B や JZ4755 といった (世代が古い)SoC は、0.4 mm ピッチだが LQFP で 電子工作レベルでボードを設計できるかも知れない。Programmers Manual なども ググって見つけたし、いずれは挑戦してみたいと かねがね思っている。

そんな考えでリファレンスデザインを眺めたりしているのだが、PMP は All in One だから、回路図が結構参考になる。今回はちょっと紹介してみたい。

参考書は、RD4725B VOLANS 。(もう新規設計を推奨しておらず、メーカーページからのリンクがなくなっている .. のだが、ググると見つかる)

    RD4755 CETUS
    RD4760 LEPUS
    RD4770 PISCES

    これらは、現行のチップ用リファレンスデザイン。

    RD4725B VOLANS は、ftp://ftp.ingenic.cn/2soc/4725B

    ここにあるが、どうもサーバーが重いような。

LED バックライト



    LED がパラレルになっている LCD バックライト用の回路。電流制限抵抗を入れるだけ ... みたいないい加減なことはしていないのだ。電源電圧が 3.3V しかないと 電流制限抵抗では調整が難しいためだ。

    で、この IC は KB5239D となっているが、パーツリストの ID のようだ。でも、8 pin で 4 出力の LED ドライバというものがある ... というだけで随分ヒントになる。

    デジキーで探してみると ... 例えば、CAT4104V なんてのが見つかる。ピン配置は違うのだが、PWM で 平均電流を 制限してくれる。なかなかに良さそう。コントローラ側でさらに PWM をかけることも出来る。ここで使われているのも同じようなタイプだろう。

    他には、PCA9633DP1 とか。こちらは I2C で制御するタイプ。

    実際の PMP で、ここまでやっている 製品は少ないだろうとは思うが、電子工作では、こういうのを積極的に使いたいところ。

      単にパラレルにすると Vf のバラツキのために、明るさに偏りが出るかも知れない。個別に PWM で調整することは可能だが、メインの MCU の リソースを割くのはもったいないし、ノイズを分離できない。

      ここは、専用 IC にまかせてしまうのが良さそうに思える。

スピーカーアンプ



    8 pin の BTL アンプが PMP ではよく使われている。(LM4890 か 互換品) ピンアサインは同じでも D 級のタイプもある。( これはリニアのタイプかも) 。それはともかく、入力部分が気になった。

    ヘッドホン用のステレオ出力を ひとつにして、アンプの ON/OFF で スピーカー出力を制御している。普通といえば普通なのかも知れないのだが、デジタル系ばかりやっていると どう回路を組めば良いかイメージできないかも知れない。

    あと電源に 1 Ωが入っている。RC フィルタにして ノイズ対策しているようだ。 負帰還用の抵抗が NC になっているのも気になる。これで良かったのだっけ? ... 普通に ゲイン 1 倍の 51K を付けるのでは? Rail-to-Rail でないのなら 少し大きい値。

ヘッドホン出力



    ヘッドホンだと 220uF ぐらいが普通なのだが、これは 47uF しか使っていない。100 Ωを入れて 出力を落とせば 47uF でも まぁなんとか。表面実装の 220uF なんてのは結構高いし、へたなものを使うぐらいなら こっちの方が良いのかも。

マイク



    10 KΩ + 1uF で 電源ノイズをカット。で、4.7k Ωで改めてバイアス。... これも知っている回路と違う。なるほどという感じ。

キー



    これは、ADC を使った回路。JZ4725B は、128 pin の IC なのだが GPIO が全然足りない。少しでも節約するためにこうなっている。

FM モジュール周り



    FM モジュールは使ったことがなく良くは知らないのだが、これもまた電源周りに工夫が見られる。10 Ω + 1uF の RC フィルタが 2 段。AVR とかでも ADC を使うなら これぐらいやった方が良いのかも。

    GND の方は、0 Ωだが、本来入れるべきなのは? チップフェライトビーズとか?

      これは、10 Ωとか。AVCC と対称で良さそう。実際 他の RD で 10 Ωになっているものがあった。

    そういえば、PIC32MX は、RC 1 段が データシートに載っていた。AVR の場合は LC が載っている。

電源 IC



    電源はスイッチングレギュレータ。PMP では、SOT23-5 の IC が 良く使われている。VCORE 用は当然としても、3.3V 用でも リニアレギュレータをメインにしているのは見たことがない。(RTC 用には 使われたりする) 。インダクタに 10uH というのを良く見るのだが、これは 3.3uH でスイッチング周波数が高いタイプのようだ。

アナログ系電源



    コンデンサの前に BKP1608HS121 (デジキーで 100個 368円) というのが入っている。ググると 太陽誘電製で、インピーダンス 120 Ω。秋月だと チップフェライトビーズ BLM18RK121SN1 (120 Ω)が近そうな気がするけど、定格電流が全然違う。それでも 抵抗いれるより全然まし?

    あと水晶周り。どうも ただの CMOS インバータで発振させる定数のように見える。-- 32KHz だと 10M なのか -- 1M でも問題ないと思うが 消費電流を減らしたければ 値を大きくできる。

MicroSD カード



    プルアップとかは、SoC 側に付いているのだろう。で、CLK だけ直列に抵抗が入っている。ちょっと気になった。

RD4725B はこんなところ。他の RD についても、紹介したいものが見つかれば追記しておこうと思う。

あと、他のメーカーの回路図は見ていないのだが、設計する人によって特色があるかも知れない。見比べてみるのも勉強になりそうだ。

追記: RD4755 CETUS

ようやくダウンロードできたので、見てみることに。

VGA



    JZ4755 は、JZ4725B とほぼ同じ世代なのだが、JZ4755 は大分機能が多い。そのひとつが VGA 出力。こんな風に RD にもコネクタがある。(2 段だから PC 用ではない?) 。そして、これ以降の JZ4760/JZ4770 は HDMI になったので もう VGA のサポートはない。ちなみに 他の JZ47XX は、2ch しかないので、S-Video 出力までにしか使えないのだが、これだけ 3ch あって VGA が出力できる。

    で、どんな風にインターフェイスしているのか。



    I2C は、FB(フェライトビーズ)を通したり、コンデンサ(120pF)を付けたり。



    VSYNC/HSYNC も同様 。それはともかく、これだと LCD と 排他で使うのだろうか? それとも 同じタイミングで出力?



    さて、映像出力はこんな風になっていた。75 Ω と 15pF を GND の間に入れてから FB を通す。そしてまた 15 pF 。いまさら VGA でもないのかも知れないが ....

ヘッドホン出力



    これは ... ただの直結。コンデンサを省けるように ステレオ化した BTL(?) になったのだが、こんなもので良いのだろうか? 気になったので、RD4760 LEPUS と RD4770 PISCES も見てみた。


    (RD4760 LEPUS)

    (RD4770 PISCES)

    RD4760 LEPUS は、なんか変。220uF ものコンデンサを入れてたり、やりすぎ? RD4770 PISCES だと ESD5B5V というのが GND との間に入っただけ。(AOHPR の方も入っている。図からはみ出た)。ESD5B5V はクランプしてくれる保護回路という理解で良いのだろうか? ツェナー x2 と同じ?

    RD4770 になると ESDxByV がやたらめったら入っているのだが ... 結構安いものなのだろうか?

    あ、参考になりそうなのは、イヤホンを FM アンテナにする所。RD4725B では、HPM ではなく GND なので、 FB を GND との間に入れて その前段を アンテナ入力にしている。

RD4760 LEPUS と RD4770 PISCES

先に出してしまったが、RD4760 LEPUS と RD4770 PISCES というのもある。

JZ4760 以前は、400 MHz 程度が上限の コアだったのだが、JZ4760 で 600 MHz 程度と周波数が一段回上がった 。SDRAM も DDR2 対応に。周辺回路もまた大きく変わっている。JZ4770 は、1.2GHz とまた 周波数が一段回上がったのだが、 周辺回路はわりと JZ4760 に似ている。

スピーカー


    (RD4760 LEPUS)

    (RD4770 PISCES)

    RD4760 は、専用出力を直結。これもあんまりだ。こうなってくると参考にならない。RD4770 はまとも? 負帰還用の抵抗はちゃんと入っている。ただ、IN+/IN- 入力に BTL の出力をそれぞれ入れている。そうした方が良いのか出来るからそうしただけなのか? ESD5B5V まで入っている。専用 IC にそんなものが必要なのだろうか?

GPS



    回路の一部だけ 載せたが、RD4760 LEPUS と RD4770 PISCES の両方 GPS が載っている。しかもモジュールではなくて、直付け。回路図なんて初めて見たかも。

    それはともかく、気になったのは、TCXO 0.5 ppm 。GPS には、精度の良い オシレータが載っているらしい。16.367667 MHz とはまた 数字がやたら多い。

    デジキーなんかで探すと 16.368 MHz とかの TCXO がわりと安く買える ... のだが周波数が 使いにくい。16368 = 16 x 1023 。16.3676.. と続くなら 16 x 1022.98 とかそんな値。

おまけ: 中国で買える SoC とか

    中国のショッピングモール taobao は代行を通さないと買いにくいのだが、様々な SoC を扱っているショップもある。たとえば ここ

      Allwinner A10 50.00 元
      RockChip RK2918 40.00 元
      RockChip RK2706B 15.00 元
      Ingenic JZ4725/JZ4725B 15.00 元

    A10 や RK2918 は Android タブレットで使われている SoC で GHz クラスの ARM 。BGA だから電子工作は無理なのだが、実際に 1 個単位で買えてしまう。50 元だと x12.5 で 625 円ぐらい。JZ4725/Z4725B は 0.4mm ピッチ 128 pin なので 電子工作 可能な範囲。RockChip の旧世代も良さそうなのだが、Programmers Manual が手に入らないしパス。

      Allwinner A13 が、QFP だという 情報が ... 多分 0.4mm ピッチ 176 ピン - 電子工作レベルで扱えるかも。もし SATA が (A10 同様に)付いていてデータシートが入手できるのなら、欲しくなってしまう。

    JZ4725/JZ4725B については、データシートとか SDRAM とか 入手済み。いずれは.. と思っている。だが、現行品では なくなってしまっているので、この機会に JZ4725/JZ4725B を入手しようかと思う。

      ついでに書くと、リンク先のショップは、PMP に使われる IC とかも 扱っている。やたら安いので一見の価値はありそう。5121 は ZX5121 LED バックライト用昇圧 IC 。LM4890 は上記でも出ているスピーカアンプ。662K は、3.3V レギュレータ。A18 は、上記の 1.8V スイッチングレギュレータ。4101 は、リポ電池充電 IC PT4101 もバックライト用昇圧 IC 。全部は分からないが メジャーなものの率が高い。こういうものは、PMP 以外でも 有用。まぁ品質上のリスクはあるが、興味深い。

    ただ問題は、JZ4725/JZ4725B が区別なく扱われていること。物理的にはピンの互換性があるのだが、中身は全然違う。SD からブートできる B が欲しいのだが ...

    ついでに書いておくと taobao で JZ4725 を検索すると PMP の メインボードが見つかる。以前も紹介したのだが、SDRAM と NAND FLASH が 付いていないもの。23 元で入手したのだが、JZ4725 採用の新品。そのままで USB Boot は出来た。(32KB のキャッシュだけで動かす)。



      SDRAM は新品では割高だったり入手が難しいのだが、今は、メモリモジュールから外すつもりなら結構安く入手できる。これなんかだと 16Mx16 が 4 つ載っている。 16 bit 幅でないといけないし、ぼちぼち 入手が難しくなっているので、いずれ使おうと思ってるのであれば 入手しておくと良いかも知れない。

      FLASH は、必要なら 手持ちの適当な 装置やらモジュールやら から外すつもり。ただ、スタンドアローンで動かさないなら 不要。



      今みると おなじものを 10 元で売っているところがある! 写真は確かに手に入れたものと同じ。(ということは無印 JZ4725)。まぁ、ついでだから買い増ししようかと。これもいずれ、ちゃんといじって記事に書きたい。

      Linux の ソースコードはある。ただ、古いチップだし大分手を入れないといけない上に、性能が他と比べて低いので 、Linux を動かしても面白くなさそう。だが、チップを生で使うなら ちょっとしたもの。400 Mz とかで動くし、メモリも 32MB とか使える。 LCD を付けないで GPIO として 使うと ... なにやら楽しいことが出来るかも知れない。

      0.8mm ピッチから線を引き出すのは私には結構なハードルだ。だが、0.5mm ピッチよりははるかに楽なはず。ピッチ変換基板を以前作ったので、それを利用して引き出すつもり。(わざわざ作る必要はなかったけど)

    ところで、手に入れた PMP のボードだが、サイズは、47mm x 77mm ぐらいで偶然にも 前の記事 『アルミケース三種(2)』でテーマにした aitendoo CASE-B に合うサイズ。最もサイズが合うだけで、入るわけではない。サイドのボタンをどうにかしないと無理。でもなにか考えたい。
posted by すz at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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