現品.com に 交流電流センサらしきものが、単価 50円で出ている。(07/10/18 現在。名称は、コイル 13.3 x 9.8 x 2.1 )

安価なので、これを使って電力計を作ってみようと思う。ただ、製品もわからないのでどういう特性があるかは自分で調べなければならない。
交流電流センサについては、
(技術資料)交流電流センサの基本コンセプトに説明があるが、非常に簡単な構造。中央の穴に測定する電流がながれるケーブルを通すと、電流の変化がセンサの出力に出てくる。ちゃんと測定するには、オペアンプで作った積分器を通す必要があるが、電熱器やはんだごてみたいなものは、積分器がなくても測定可能。
注意点としては、
(技術資料)交流電流センサ解説1(出力特性図の見方)にあるように、飽和領域と微小電流領域で直線性が悪くなること。センサの両端につなぐ抵抗は小さいほど(大電流で)直線性が良くなるようだが、あまりに出力が小さいと微小電流領域が測定できなくなる。
特性を調べるまずは、↓のようなケーブルを作る。

そして、出力に抵抗をつなぎテスターのAC電圧測定モードでいろんな機器の電圧を測定してみる。機器そのものの消費電力を知るために、結局 サンワ ワットチェッカー TAP-TST5を使っている。
出力(AC mA)/W 10Ω 50Ω 100Ω 1KΩ はんだごて 1/11 7/11 15/11 114/11 (15W) 17inch ディスプレー 10/92 53/92 106/92 365/92 (ブラウン管) ホットカーベット1/2 44/333 221/326 301/323 368/320 (300W) パネルヒーター 53/396 250/395 302/395 368/394 (400W) ホットカーペット 87/622 253/613 304/609 369/604 (600W)
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グラフ(log scale x,y)

データを log scale でグラフ化してみた。1KΩは、92W で既に飽和している。線形部分の傾きがみな同じとすれば、30W ぐらいまでしか線形でなさそうだ。
100Ωでは、200W ぐらいまで。50 Ωになると、飽和するところが測定できていて、300W まで線形だと判る。
10Ωは確かに 直線性が良い、1KW は測定できそうだ。

このグラフは、50Ωと 10Ωについて、log scale をはずして表示したもの。50Ωは 0.68 AC mV/W , 10Ωは 0.14 AC mV/W 。 抵抗値の比と同じで 5倍もの差がある。
回路の設計(その1)
抵抗の両端に 10Ω〜50Ωの抵抗を接続し片側を グランドにして、交流結合で一段目のオペアンプに入力する。0.2〜0.3V が最大出力らしいので、2倍ぐらいのゲインもかける。さらに 積分器となるように、コンデンサを負帰還の抵抗に並列に接続する。
2段目は、理想ダイオードにして、半波整流する。(参考:
電子回路の豆知識)ここでも 2倍ぐらいのゲインをかける。
最後に、RFフィルタで整流して差動入力のADCで受ける。
R=50Ωの場合、最大で 250 AC mV とすると、ゲイン 4 倍で 1.0 AC V 仮想グランド 1/2 VCC からの最大振幅は、1.41 V、3.3V 電源で OK そうだ。半波整流なので、ADC への入力は最大 0.5V 。 ADC 基準電圧を 0.5V にすればフルスケールで測定できる。
R=10Ωの場合、最大電圧はさほど変わらないので、基本は 同じ回路で良さそう。低電流のときどうするかがポイント。アナログスイッチを使ってゲインを切り替えられる プレアンプを置く?
オペアンプの選択LMV358を使おうと思う。そのままでは、使いにくいので、
変換基板で 8PIN DIP に変換して使う。理由は、単価が安い。3.3V で使える。RAIL-to-RAIL 出力が得られる(入力は違う点に注意)ことの3点。性能は 1V/μsのスルーレートでそれなりだが問題ないだろう。